私が一番近かったのに…
そんな子がいきなり男に誘われでもしたら、こちらを意識しすぎて警戒してしまい、今よりもっと彼女と距離ができてしまうであろう。
そして、俺の知らない間に違う男が、先に奪うなんてことになったら俺は……。
いい加減もう、このオチは止めよう。なので、ここから先は割愛させて頂く。

「大平さん。ちょっとこっちに来てくれないかな?」

ようやく、仕事を終えた大平さんが、たまたま近くを通った。俺はドキドキした。
大平さん、いつ見ても可愛いな。彼氏いるのかな?好きな人は?
もし、大平さんが俺のことを好きだったら……。
想像してみたら、思ったよりも破壊力があった。あの声と顔で、優しい笑顔で好きだなんて言われてしまえば、俺は撃沈するであろう。

「はい、店長。何かご用ですか?」

大平さんが、俺の隣に並んだ。その時、ほのかに彼女から良い匂いがした。
女の子ってどうして、こんなに良い匂いがするのだろうか。彼女は特別良い匂いがする。きっと俺が彼女のことを好きだからかもしれない。

「ごめんね。遅い時間まで働かせちゃって。もう夜も遅いし、暗くて危ないでしょう?一人で帰らせるわけにもいかないし。
だからね、岩城くんと大平さん、家が近所みたいだから、一緒に帰ってあげて」

店長ナイス!さぁ、大平さん。どんな返事をしてくるんだ?!
この間、どうにか連絡先をゲットすることができた。今までだったら、連絡先を交換してしまえば、後は女の方からアプローチしてきた。
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