私が一番近かったのに…
運命だと思った。たまたまコンビニへ足を運んでみたら、自分好みのイケメンがいた。
最初はどうしたらいいのか分からず、戸惑っていた。
でも、迷っていても仕方がないと思い、意を決して声をかけてみた。

「あの…、すみません」

声をかけてみたものの、肝心の話す内容を考えていなかった。
このままではまずい…と思い、逃げようかと思ったその時だった。

「はい。何か探し物ですか?」

そっか…。その手があったか!店員さんナイス。
まずは探し物を探してもらうところから仲良くなればいいのだと、気持ちを切り替えた。

「えっと…、ハーゲン〇ッツの新作ってありますか?」

大して欲しいものではなかったけれども。
でも、いいの。この目の前にいるイケメンと仲良くなるためなら。

「はい。こちらでお間違いないでしょうか?」

ここで会話を途切れさせたくなかった。
何とか続けるための手段を、ない頭を働かせて考えてみた。

「お兄さんのオススメってなんですか?」

勢い余って質問してみた。絶対に困ってるよね?早く何か次の言い訳を考えなくては…。

「僕のおすすめはビターチョコですかね。とても美味しいですよ」

キラキラした営業スマイルに、心が射抜かれた。
ダメだ。私はもう完全にこの人に落ちてしまった。

「ビターチョコ美味しいですよね。私も好きです!」
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