私が一番近かったのに…
「あのね、私が中山くんをわざわざ呼び出したのは、これまで中山くんに、たくさん私の背中を押してもらったから、そのお礼が言いたかったの」

このことは私と中山くんの二人だけの秘密だった。
もう秘密にする必要はなくなったので、愁に打ち明けてみた。
それにずっと秘密にしていると、よからぬ方向へ考えしまいそうなので、そうならないようにするために、本当のことを話した。

「へぇー、意外だな。幸奈って中山のことが苦手だと思ってたから、なんだか新鮮だな」

あながち間違ってはいない。昔は中山くんことが苦手だったから。
愁にバレているということは、もしかしたら、中山くん本人にも気づかれていた可能性もある。

「そう?そんなに意外かな?
とりあえず、呼び出した理由はそんな感じです」

やっと愁も落ち着きを取り戻したみたいだ。それと同時に、苦い顔をしていた。
どうやら、自分の行動がやらかしていたことに、ようやく気づいたみたいだ。

「中山には悪いことをしたな。あとで謝っておくわ」

「うん。謝っておいてね。中山くんは私にとっても大切なお友達だから」

いつか三人で笑い合いながら、もっと色んな話をしてみたい。
そして、いつか中山くんに好きな人ができたら、二人で背中を押してあげたい。

「俺は幸奈にも中山のことを好きになってもらえて嬉しいよ。アイツは俺にとっても、大切な友達だから」

初めて男友達ができた。男性とずっと接点がなかったため、ようやく男友達ができたことが、とても嬉しかった。
せっかくなので、中山くんとはこれからもお友達として、長くお付き合いできたらいいなと思った。

「まずは三人でご飯にでも行かない?まだ話したいことがたくさんあるし」

「そうだな。俺が中山に迷惑かけっちまったし、その謝罪も兼ねて、今度三人でご飯でもするか」

その夢が早く実現することを心の中で願った。もっと友達と仲良くなりたいから。


          -END-
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