私が一番近かったのに…
もちろん呼び出された要件は、これまで俺が彼女の背中を押してきたことだった。
大袈裟に褒める彼女に照れつつも、悪い気はしなかった。
今はもう好きな人ではないが、昔好きだった人に認めてもらえることが、こんなにも嬉しいことだとは知らなかった。
そんな彼女は周りが見えていなかったせいか、自分の彼氏がいる目の前で、他の男のことを褒めてしまったのであった。
きっと俺のことなんか、愁は気にも留めないであろうと思いきや、まさか自分に嫉妬してくれるなんて思いもしなかった。

『でもまずはその前に、この男をどうにかしてからにしてね。また俺に敵意を向けられても困るから』

なんてことを言ったが、本当はとても嬉しかった。
俺はきっと愁に少しでも自分のことを意識してほしかったのかもしれない。今まで勝てなかった悔しさを晴らすために…。
でも、もう彼女への想いは過去の話なので、これ以上親友に敵意を向けられすぎるのも複雑な気持ちだ。
きっとこの二人なら、大丈夫だと思う。これから俺は散々、惚気話を聞かされることになるんだろうなと思うと、顔が綻んでしまった。
自分のことのように嬉しかった。好きな人と好きな人が結ばれたことが。いつまでもお幸せに…。

そして俺は今、気になっている人がいる。その人は愁の元カノだ。
気になっているというのは、好きという意味ではなく、あれからどうしているのか気になっているという意味で。深い意味はない。
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