私が一番近かったのに…
今の俺にとって、二人はとても眩しかった。
あんなふうになりたいと、心の中で密かに憧れている。
まずは女の子に聞かれた質問に対して、スマートに答えられる男になれるよう、頑張ることにした。

「気にかけてくださり、ありがとうございます……」

彼女は頬を赤く染めていた。
どうやら、俺は彼女を勘違いさせてしまったみたいだ。

「その、気になるっていうのは、愁と色々あったのを知ってるから、その後元気にしてるかなっていう意味での気になるなので」

わざわざ否定する必要はなかったのかもしれない。俺が自意識過剰なだけという可能性もある。
それでも彼女に期待を持たせるようなことは言えなかった。再び恋愛絡みで傷つく彼女を見たくはないから。

「ちゃんと分かってますよ。それでも、気にかけてもらえていたことが嬉しかったんです」

言わずとも、どうやら彼女は察してくれていたみたいだ。
彼女は恋愛でいっぱい傷ついたからこそ、彼女の支えになりたい。たくさん笑ってほしいと思った。

「あのさ、よかったら俺がいつでも話し相手になるから、苦しくなったら俺を頼ってほしい」

この時の俺は、まだ自分の気持ちに気づいていなかった。
失恋の悲しみに打ちひしがれている彼女を、ただ救いたいという気持ちで、頭がいっぱいだった。

「いいんですか?頼っても」

何故か彼女に頼られたいと思ってしまった。
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