私が一番近かったのに…
俺の手を取ってくれた。初めて本気で好きになった子とお付き合いすることができた。
今までの俺は、なんとなく彼女ができたから嬉しいぐらいの気持ちだった。
まさか本気で好きな子が相手になると、ここまで嬉しさが違うなんて知らなかった。

「本当に俺でいいの?」

あまりの嬉しさに、気が動転して変なことを聞いてしまった。
すると、彼女は笑いながらこう言った。

「いいから告白をオッケーしたんじゃないですか。これからよろしくお願いしますね」

やっぱり、彼女の笑顔は最高だ。
もしかしたら、初めて彼女が笑ってくれたあの日、俺は彼女に恋に落ちたのかもしれない。
もし、彼女の好きなところはどこ?と聞かれたら、間違いなくこう答えるであろう。君の笑顔が好きだよ…と。

「よろしくね。幸保。それとこれからはもう敬語は禁止。俺達は付き合い始めたんだから」

「そうだね。もう敬語は止めるよ、和樹」

海辺で抱き合った。初めて彼女を抱きしめた。
今はこれだけで充分、幸せだ。きっとこれから二人だけの秘密がたくさん増えていくのだと思うと、今からとても楽しみである。

「幸保、必ず幸せにするから」

そのまま彼女とキスを交わした。優しい触れるだけのキスを。

「うん。幸せにしてください」

照れながら笑顔で言う幸保が可愛すぎて、キスのおかわりをした。

「絶対に幸せにする……」
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