私が一番近かったのに…
人を本気で好きになることを知らなかった俺に、彼女は人を本気で好きになることの大切さを教えてくれた。
そんな彼女の背中を見てきたからこそ、俺は大切にしたいと思える女性に出会えた。
誰かを思う気持ちは、時に人を弱くもするが、強くもしてくれる。
これから先、喧嘩することもあるかもしれない。
その度に幸保と仲直りをして、たくさん笑い合っていけたらいいなと思う。

「今度、二人に紹介させてもらってもいい?」

幸保は嫌がるかな。二人に会うことを。
いや、きっと今なら愁にも大平さんにも、顔を合わせることができるかもしれない。今は俺が幸保の傍にいるから。

「私達はいつでも大丈夫だよ。今度、時間がある時にでも紹介してね」

「うん、そうさせてもらうよ。
それじゃ、これから俺、彼女と会う約束をしてるから、お先に失礼するね」

一足先にファミレスを出て、真っ先に彼女の元へと向かった。
親友に報告することができたので、今は気分が良い。早くこの気持ちを彼女に報告したかった。

「幸保、お待たせ」

待ち合わせ場所へと向かうと、今日は彼女の方が先に来ていた。
どうやら、待たせてしまったみたいだ。申し訳ないと思いつつも事前に、『友達に会ってくる』と報告していたので、彼女は嫌な顔一つしていなかった。

「大丈夫だよ。お友達とはどうだった?」

「ありがとう幸保。実はさっきまで愁と愁の彼女に会ってたんだ」

一瞬、驚いた顔をした後、すぐに笑顔に戻った。
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