私が一番近かったのに…
「はぁ。もういいよ。筋トレしたいなんて言わないから、せめて今度、トレーニングしてる姿だけでも見せてほしいな」

最初から素直にお願いすればよかったのかもしれない。
そして、このお願いなら、彼もきっと許可してくれるに違いない。

「見られるのは恥ずかしいが、幸奈の頼みならいいよ」

なんとかお許しを頂けた。これで愁の頑張っている姿が拝める。
しかし、思ったよりも本格的にトレーニングしているみたいだ。
男の子って皆、こうなのかな?男兄弟がいなかった上に、今まで男の人と接点があまりなかったので、男の人のことをよく知らない。
中学生の頃は、男子と話すことができても、何故か周りの女子達に、
「大平さんと話すの禁止。大平さん、こっちへ来て」と、止めに入られたりなんかした。

高校生の頃は、男子に避けられていた。私って知らず知らずのうちに、何か失礼なことをしているのかなと、凹んだりもした。
自覚がないため、このことでずっと悩んでいた時期もあった。
今は愁がいるから、もう悩んではいない。他の男性には一切、興味がないから。
少し話が逸れてしまったが、愁の筋肉への思い入れの深さには驚いた。
まだまだ知らないことがたくさんある。これからゆっくり知っていきたいと思った。

「いいの?やった…。嬉しいな。ずっと愁が筋トレしてる姿を見てみたかったの」

「え?そうだったのか?!なら、もっと早く言ってくれればよかったのに…」
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