私が一番近かったのに…
「だって、ラブホなんて初めてだから。愁は来たことあるの?チェックインとか慣れてる感じだったし」

「高校の頃に、二歳上の彼女と付き合ってた時に初めて来た。その時、俺は童貞を卒業した」

やっぱり、来たことがあったんだ。しかも口振りから察するに、他にも何人か過去に彼女がいたんだと思う。
愁はモテる。優しくて、顔も良し。そんな人を誰も放っておくわけがない。
薄々気づいてはいたが、それでも心はかなりショックを受けていた。

「って、これからセックスすんのに、他の女の話なんかさせんなよ」

愁がいじけてしまった。寧ろいじけたいのはこちらの方だというのに。
でも、そんな愁が可愛いなと思った。これが所謂、惚れた者の弱みというやつなのかもしれない。

「ごめん。ちょっと気になっただけだから」

「へぇー。俺が誰と来たか気になるんだ。
でも、今は俺のことだけを考えてろよ」

強引に腕を掴まれ、ベッドまで連れて行かれた。そしてそのまま、ベッドに押し倒された。

「途中で止めてってお願いしても、止めないからな。覚悟しておけよ」

強引にキスされた。無理矢理、咥内に割って入ってきた。
あまりの気持ちよさに、思わず声が漏れてしまう。キスだけで蕩けそうだ。

「キスだけでそんな反応されちまったら、今すぐにでも挿れたくなっちまう」

既に私は、いつでも愁を受け入れられる準備が整っている状態だ。あとは愁のタイミング次第だ。
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