三日月が浮かぶ部屋で猫は ~新米ペットシッターは再会した初恋の彼の生涯専属を求められる~
沙耶と雪絵をはじめとした女子生徒がいじめをする男子生徒を表立って非難するようになり、いじめはなくならなかったものの、沙耶はターゲットからはずれ、尚仁への攻撃は弱まった。
仲良くなってからは、沙耶と尚仁はしょっちゅう一緒に遊んでいた。
放課後は公園で遊んだりお互いの家にいってゲームをしたり、宿題をやったり。
それで雪絵や友達にからかわれることもあったが、そんなことは放置しておけるくらい、一番に仲のいい友達だった。
友情が恋にかわるのに時間はかからなかった。沙耶は恋心を秘めたまま、彼とは良い友人として接していた。
彼は転校してきた理由を沙耶にだけは語った。
「お父さんの会社がうまくいってなくて。会社の立て直しに専念するためにいったん離婚したんだって。それでお母さんの実家の近くに越して来たんだ」
沙耶には理解できなかった。
「どうしてそれで離婚になるの? 仲が悪くなったわけじゃないんだよね?」
「俺だって知らないよ」
会社が倒産した際に負債が妻子にまで及ばないようにするためだが、尚仁にはそこまでの説明がされていなかった。
その後、会社の立て直しがうまくいき、彼は卒業のタイミングでまた父親の元に戻ることになった。両親が復縁するのだという。
「東京に戻ることになったから。住所はまだ決まってないんだけど、向こうについたら連絡する」
尚仁はそう約束してくれた。
沙耶は母親にお願いしてかわいい便せんと封筒を買ってもらった。それを使って別れの手紙を書き、連絡先も添えて彼に渡した。
「必ず連絡するから」
彼はそう言って卒業と同時に東京に戻った。
だが、一度も連絡はこなかった。
彼の連絡先は落ち着いたら教えてもらうことになっていたから、沙耶からは連絡できなかった。
もとの住所に手紙を送ったら自動で転送されるかと思ったが、宛て先不明で戻ってきてしまった。
住所も電話番号も自分が書き間違えてしまったのだろうか。
だから彼は連絡できずにいるのだろうか。
新天地で新しい友達ができて、もう私のことなんかどうでもよくなってしまったのだろうか。
不安だった。
仲良くなってからは、沙耶と尚仁はしょっちゅう一緒に遊んでいた。
放課後は公園で遊んだりお互いの家にいってゲームをしたり、宿題をやったり。
それで雪絵や友達にからかわれることもあったが、そんなことは放置しておけるくらい、一番に仲のいい友達だった。
友情が恋にかわるのに時間はかからなかった。沙耶は恋心を秘めたまま、彼とは良い友人として接していた。
彼は転校してきた理由を沙耶にだけは語った。
「お父さんの会社がうまくいってなくて。会社の立て直しに専念するためにいったん離婚したんだって。それでお母さんの実家の近くに越して来たんだ」
沙耶には理解できなかった。
「どうしてそれで離婚になるの? 仲が悪くなったわけじゃないんだよね?」
「俺だって知らないよ」
会社が倒産した際に負債が妻子にまで及ばないようにするためだが、尚仁にはそこまでの説明がされていなかった。
その後、会社の立て直しがうまくいき、彼は卒業のタイミングでまた父親の元に戻ることになった。両親が復縁するのだという。
「東京に戻ることになったから。住所はまだ決まってないんだけど、向こうについたら連絡する」
尚仁はそう約束してくれた。
沙耶は母親にお願いしてかわいい便せんと封筒を買ってもらった。それを使って別れの手紙を書き、連絡先も添えて彼に渡した。
「必ず連絡するから」
彼はそう言って卒業と同時に東京に戻った。
だが、一度も連絡はこなかった。
彼の連絡先は落ち着いたら教えてもらうことになっていたから、沙耶からは連絡できなかった。
もとの住所に手紙を送ったら自動で転送されるかと思ったが、宛て先不明で戻ってきてしまった。
住所も電話番号も自分が書き間違えてしまったのだろうか。
だから彼は連絡できずにいるのだろうか。
新天地で新しい友達ができて、もう私のことなんかどうでもよくなってしまったのだろうか。
不安だった。