天才パイロットは契約妻を溺愛包囲して甘く満たす
あたたかくて、嵐さんのいい匂いがする……。
彼の胸に頬を寄せ目を閉じただけで、ずっとくすぶっていた嫉妬心が、小さくなっていくのがわかる。
「紗弓」
「……はい」
「ノアのことが気になるんだよな?」
そっと体を離した彼が、気づかわしげに私の瞳を覗く。
ここで意地を張っても仕方がないので、首を縦に振って肯定した。
「……ごめんなさい。嵐さんはちゃんと説明してくれたのに、心がついていかなくて」
「謝らなくていい。言ったろ、俺だって未だに青桐に嫉妬してるんだ。こうして自分の腕に抱いていても、離れたらきっとまたすぐに紗弓に触れたくなる。……こんなこと、ノアにも他の誰にも思わない。紗弓だから、抑えがきかなくなるんだ」
「嵐さん……」
「だから、紗弓もよそ見をしないで俺だけ見ていてほしい。きみを待たせている身分でずるいかもしれないが、誰にも渡すつもりはないから」
彼はそう宣言すると、胸を焦がすほどの熱い眼差しをして廊下の壁に私を追い詰める。
それから両手を優しく壁に縫いつけて、唇を近づけてきた。目を閉じて、降り注ぐキスを受け入れる。