天才パイロットは契約妻を溺愛包囲して甘く満たす
「なぁ紗弓」
「なんですか?」
「バレンタインに欲しいプレゼント、思いついた」
彼の胸にくっつけていた顔をパッと上げる。
嵐さんの表情は名案を思いついたかのごとく、ちょっと得意げだ。
「ホントですか? 嵐さんが欲しいものなら、頑張って用意します」
「言ったな?」
軽く脅すような口ぶりに、急に自信がなくなってくる。
嵐さんのためなら予算だって弾むつもりだったけれど、お金で買えるものとは限らないし……。
「もしかして手に入りづらいものですか? 確かに、あと一カ月弱しかないから限定品とかは売り切れてるかも――」
「欲しいのは、紗弓」
焦り始めた私の耳に、彼の甘えたような声が飛び込んでくる。
一瞬なにを言われたかわからずにキョトンとしてしまったけれど、すぐにその意味を理解してかぁっと頬が熱くなった。
嵐さん、私のこと欲しいって言った……?
「それはその、夫婦の営みを、する……ということでしょうか?」
一番オブラートに包んだ言い方はなんだろうと必死で頭を回転させたが、どんな言葉を使ったって内容は変わらないので挙動不審になってしまう。