天才パイロットは契約妻を溺愛包囲して甘く満たす
「私だって全然まっとうな女じゃないですよ。広瀬さんとは逆で、どちらかというと八方美人かも。そのくせ、結婚するなら顔も収入もいい人がいいなんて、自分のことは棚に上げて高望みをしてる、感じ悪い女です」
夏希は自虐めいた笑みを浮かべ、ワインに口をつける。そうして中身をひと口飲むとふうっと息をついた。
「でも、広瀬さんが自分を変えたいって思ってるなら……私も一緒に、感じ悪い女脱却、頑張ってみようかな」
夏希の猫のような目がまっすぐ広瀬さんをとらえる。
広瀬さんは頬を赤く染め、照れくさそうに夏希から目を逸らした。
「そ、それは暗に、僕のスペックが低いことを示唆して……?」
「ひーろーせ」
嵐さんが、広瀬さんを睨みつける。全然変わってないじゃないかと言うように。
「あ、ええと……なんでもありません」
バツが悪そうに肩を竦める広瀬さん。
夏希がこらえきれずに噴き出した。