天才パイロットは契約妻を溺愛包囲して甘く満たす
「あははっ。謝らないでください。そう受け取られても仕方ないです。まるで広瀬さんを利用するみたいな言い方しちゃってすみません」
「いえ……僕も同じようなものですから」
「で、どうしますか? こんな女はやっぱりやめときます? 私はあなたに興味湧いてるんだけどな。無知な私に色々教えてほしいし」
テーブルに身を乗り出した夏希が、にっこりと微笑む。
無知だと言われて根に持つどころか、広瀬さんとの関係を一歩進めるためのプラス要素に変えてしまう彼女に感心する。
「つ、露木……これは、どう答えれば正解だ?」
嵐さんの服を掴み、慌てて助けを求める広瀬さん。自信なさげに眉を八の字にする彼に、嵐さんが思わず苦笑した。
「なんで俺に聞くんだ。自分の正直な気持ちを言えばいいだろう」
「間違えたくないんだよ。こうまで僕とまともに向き合ってくれた人は、初めてだから……」
正直な胸の内を吐露した彼に、部外者の私まで胸がきゅっとなる。
夏希が言ったように、広瀬さんにも変わりたい気持ちがあるのだろう。
だけど具体的にどうしたらいいかわからない。そんな感じだ。