天才パイロットは契約妻を溺愛包囲して甘く満たす
それからしばらく連絡はなかったのに、ここ数日、なぜか頻繁にメッセージが来る。
会おうとかヨリを戻したいとか、そういう内容でもないので無下にもできず、当たりさわりのない返事をしているけれど……。
【今日はいい天気だな。こんな日はもう一度空を飛びたくて、センチメンタルになる】
……また一段と、返信に困る文面だ。これに、どう返事をしろと言うのだろう。
無視するのは気が引けるが、今は露木さんとの約束の時間が迫っているし後でゆっくり考えよう。
一旦スマホはバッグにしまって、マンションのエントランスに下りるためエレベーターに乗った。
我が家のマンションがあるのは、羽田空港にアクセスのよい品川駅の西側、近くに公園や小学校のある住宅地エリア。
一方露木さんは駅の東側に住んでいるらしいので、間を取って品川駅近くのホテルで食事をする約束になっている。
マンションを出ると、きんと冷えた冬の空気に身を竦める。まだ十二月になったばかりだが、今年の冬は寒さが厳しいようだ。
ふた駅電車に乗り品川に着くと、ホテルまで歩く。目的の中国料理レストランは一階にあり、約束の十分前に到着した。