天才パイロットは契約妻を溺愛包囲して甘く満たす
しかし、それほど執念深い昇さんへの恐怖より、今の私には上回る感情があった。
成沢ノア。私が今一番敏感になっている女性の名を目にして、落ち着いていたはずの嫉妬心が再びくすぶり始める。
どうして、昇さんがノアさんを知っているのだろう。
画面を見つめてただじっとしていると、画面に追加のメール内容が追加された。
【彼女が昔書いていたブログを見つけたから、URLを送る。早く露木の本性に気づいてくれ】
読み終えてすぐ、宣言通りURLが送られてくる。
ブログ……? ノアさんの?
ショートメールで送られてくる怪しいURLにはアクセスしてはいけない。
今どき小学生でも知っていることだが、誘惑に負けた私はおそるおそる、貼りつけられたアルファベットの羅列に指を伸ばす。
「紗弓?」
その時、至近距離から嵐さんの声がして、思わずビクッと肩が跳ねる。
私がいつまでも追いかけてこないからか、心配そうな顔をした嵐さんが立っていた。
「すみません。仕事のメールで……」
咄嗟にそう口にし、昇さんからのメールを見られないようスマホを胸に抱いた。