天才パイロットは契約妻を溺愛包囲して甘く満たす

「少し、仕事で真路さんに相談したいことがあるんだ。墓地を出る前に連絡したら、返事が来ていた。夜なら時間を作れると」

 真路さん……。ということは、本当に仕事の相談……かな。

 無意識に彼を疑っている自分が嫌になるが、相手がノアさんでなくてホッとしたのは事実だった。嘘をついている可能性もあるけれど……。

「わかりました。私なら大丈夫ですから、真路さんによろしくお伝えください」
「ありがとう」

 嵐さんの大きな手が、ポンと頭にのせられる。それから優しく髪を撫でられたけれど、スキンシップはそれで終わり。

 嵐さんはマンションには帰らず、そのまま真路さんに会いに行くと言って、徒歩で駅に向かって行った。

 彼と別れてマンションの自宅に戻ると、電気もつけず、疲れ切ったようにリビングのソファに腰を下ろす。

 それからスマホを取り出し、ずっと開くのを我慢していたあのURLに今度こそ触れた。

 パッと画面が白くなった後、ブログサイトに繋がって、ひとつの記事が直接現れる。

 アカウント名は『傷だらけの鳥たち』。ブログタイトルは、【いくらでも吐き出していいからね】だった。

< 136 / 229 >

この作品をシェア

pagetop