天才パイロットは契約妻を溺愛包囲して甘く満たす
タクシーでマンションに帰りつき、玄関に入ったところで「ただいま」と声に出す。
しんとしている廊下で、腕時計を見る。午後十一時半を過ぎたところだ。もしかしたら先に寝ているかもしれない。
最初にリビングを覗いたものの紗弓の姿がなかったので、彼女の部屋をノックする。
返事がないので静かにドアを開けると、ベッドは綺麗なままだった。
「紗弓……?」
トイレやバスルームもひと通り見たがどこにも彼女がおらず、少し不安になる。
玄関に靴はあったから、いるはずだが……。
スマホを取り出し、紗弓の番号に電話をかけてみる。すると、なぜか俺の部屋から着信音が聞こえてきた。
一旦電話を切り、自分の部屋を覗く。
すると、部屋の中央にあるベッドの中で、紗弓が体を丸めてスヤスヤ眠っていた。
「……こんなところにいたのか」
姿を見つけてホッとしたところで、ベッドに歩み寄る。彼女を起こさないよう、そっと端の方に腰かけた。
横向きに眠る彼女の顔をよく見たくてベッドサイドのランプをつけると、紗弓がなにか抱きしめていることに気づく。
俺が朝脱いで、ベッドに放っておいたスウェットだ。