天才パイロットは契約妻を溺愛包囲して甘く満たす
まさか、俺が出かけてしまったから寂しくて、この部屋のベッドで、俺の服を抱きしめて寝ているのか?
かわいすぎる行動に、胸の奥がきゅっとつねられたように痛む。
本当に真路さんの言っていた通りだ。彼女の中ではこんなにも、俺の存在は大きなものになっている。
「俺も同じだ、紗弓」
最初から関わるべきじゃなかったなんて、馬鹿なことはもう思わない。
紗弓がそばにいてくれることが、なによりの幸せだから……きみを愛さない人生なんて、もう考えられない。
本当は起きている彼女に伝えたかった言葉を、安らかな寝顔に向けて胸の内で呟く。
それから頬にかかる髪を耳にかけ、身を屈めてそっと唇を重ねた。
腰を上げると、そばに置いてあったらしい紗弓のスマホがベッドから落ちてしまった。
はずみで画面がパッと明るくなり、ロック画面に並んだメールの通知が自然と目に入る。
【ご予約内容のお知らせ ブルーバードエアラインウェブ】
うちのチケット予約サイト……?
どこかに行くつもりだろうか。話は聞いていないが、矢坂さんと休みを合わせて旅行に行くとか?
なんとなく疑問を抱きつつも、人のスマホに届いたメールをじろじろ見るのは気が引ける。
スマホはサイドテーブルに置いて、シャワーを浴びようと部屋を出た。