天才パイロットは契約妻を溺愛包囲して甘く満たす
【空港のどこだ? すぐに向かう】
【第一ターミナル南ウィングの一階ベンチです。人が少ないので、すぐにわかると思います】
カフェやレストランは閉店を始める時間。
ひっそりとしたベンチで寒い中俺を待っている彼女を想うと、自然と駆け足になる。
脳裏には紗弓との出会いから今までが、浮かんでは消えた。
両親を襲ったような万が一の事態が怖くて、家族を作ることに臆病になっていた。
俺のために大切な人が涙を流すなんて想像しただけで耐えられないからと、そもそも恋愛自体から逃げていたのだ。
しかし、紗弓と再会してからは、逃げようもない強い衝動で彼女に惹かれた。
紗弓は両親からの最期のメモを捨てずに取っておいてくれた頃と変わらず、いつでも自然に俺の心に触れ、優しく包み込んでくれる。
そのおかげで、将来を悲観的に考えることも減った。