天才パイロットは契約妻を溺愛包囲して甘く満たす
「……だったら、私も大阪に行く?」
ふと頭に浮かんだ思いつきが、口からこぼれた。彼らのフライトがある四日後のバレンタインとその翌日、私は偶然連休なのだ。
……とはいえ、迷いもある。
いくらなんでも、仕事先についていくなんてやりすぎではないだろうか。嵐さんだって大阪に私が現れたらびっくりするだろう。
信用されてないと思われてしまうかもしれない。
だけど、東京で指をくわえて待つだけなんて……。
空になった器をコトッとテーブルに置き、脇にあるスマホを手に取る。検索アプリを開いて、ブルーバードエアラインのチケット予約サイトにアクセスした。
どうせ行くなら、彼とノアさんが操縦する、まさにその便に乗りたい。
コックピットの様子を覗けるわけではないけれど、できる限り彼らの近くにいたいのだ。
そんな一心で、チケットの検索条件を打ち込む。
二月十四日、大阪伊丹空港行き。
こんな直前ではもうチケットは完売しているかもしれないけれど、もしも取れたら……その時は、迷わず嵐さんのもとへ行こう。