天才パイロットは契約妻を溺愛包囲して甘く満たす
本当は聞きたくもないしなんとなく予想はつくが、尋ねないわけにもいかない。
こうして昇さんとの会話を続けている間になんとか嵐さんに連絡できないか、必死で頭を回転させる。
「俺たちが一緒になる未来の話に決まってる。紗弓を奪い返せば、俺はようやく露木を出し抜けるんだ」
昇さんはそう言って、ぐっとこぶしを握る。
彼が私に執着するのって……もしかして私自身への好意からというより、嵐さんへのライバル心が理由?
だとしたら、うまく彼のプライドを刺激して嵐さんと連絡が取れないだろうか。
「そんな……やめてください。嵐さんを傷つけないで」
私はわざと頼りない表情を作り、いやいやと首を振って見せた。
ちょっとやりすぎかとも思ったが、昇さんは演技だと気づかない様子でを見る。
「かわいそうに、紗弓はアイツに騙されてるんだ。その証拠に、ノアちゃんも露木に遊ばれて捨てられた被害者だ」
昇さんがフェンスのそばにいるノアさんを一瞥し、力説する。