天才パイロットは契約妻を溺愛包囲して甘く満たす
チョコレートを持ってキッチンに戻ると、嵐さんがコーヒーを準備してくれていた。
リビングのローテーブルにマグカップと缶を置き、ソファに並んで座る。
夜遅くのおやつタイムはちょっぴり罪悪感があるけれど、コーヒーとチョコレートの香りを嗅ぐと、胸がときめいた。
添付の商品説明を見ずに、まずはひとつずつこれだと思ったひと粒を口に放り込む。
「……うん。うまい。俺のは中がキャラメルガナッシュだな」
「私のは甘酸っぱいベリージャムです。美味しい」
チョコが舌の上に広がったところで、ブラックコーヒーを口に含む。カカオの香りとコーヒーのほろ苦さとが溶けあって、上品な香りが鼻から抜けていく。
その後もいくつかのチョコをお腹に入れ、食欲を満たした。
「はぁ、幸せ。……って、本当は嵐さんへのプレゼントなのに、すっかり自分が満喫してしまってすみません」
「いいよ。これから俺はもっと甘くておいしいプレゼントをもらう予定だから」
したり顔で顔を覗き込んでくる彼に、どきりと胸が跳ねる。
それって、私のことですよね……。
わかっていても頬が熱くなり緊張感が高まる。嵐さんは私の髪を耳にかけると、頬に手を添えてジッと視線を合わせた。