天才パイロットは契約妻を溺愛包囲して甘く満たす

 それから半年が経過し、暑さも落ち着いてきた九月の下旬に私たちは結婚式を挙げた。

 天国にいる嵐さんのご両親からもよく見えるようにと、開放的なガーデンウエディングを行っている式場を選んだ。

 雨だった場合もガラスの屋根に覆われたチャペルを借りられる予定だったけれど、当日の空は気持ちよく晴れ渡り、私たちの門出を祝ってくれた。

 家族や親しい友人たちを中心に少人数だけを集めた式の後は、ガーデンの敷地内にあるパーティー会場に移動して披露宴。

 私は純白のウエディングドレスから、ミモザの花をイメージした黄色のドレスへ。嵐さんは黒のタキシードから優しげなブラウンのタキシードにお色直しした。

 余興の時間には、ご夫婦で招待した杏里さんの旦那様がギターを片手に歌を披露したり、嵐さんの友人で航空管制官の広瀬さんが、いつかの食事会の時のようにクイズ大会を開催したりして、披露宴を盛り上げてくれた。

「最終問題です。中部国際空港の管制塔の高さは?」
「はいっ」

 勢いよく挙手したのは、友人として参加してくれている夏希だ。

 彼女は今でも広瀬さんとお付き合いを続けていて、今では私よりも空港雑学に詳しい。

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