天才パイロットは契約妻を溺愛包囲して甘く満たす
「それでは、新婦友人矢坂さん、どうぞ」
「八十六、三メートル!」
「お見事、正解です。賞品がありますのでこちらへ」
夏希が嬉しそうに席を立つ。クイズに正解したら、ささやかなお菓子のプチギフトを用意しているのである。
受け取った夏希は、透明な包装の中身を見てニコッと微笑んだ。
「やった。バームクーヘン好きなの」
「それからもうひとつ、これも」
広瀬さんが、小さなプレゼントの箱を夏希に渡す。こちらは中身が見えないようになっているので、夏希が中身を確かめるように、耳元で箱を振る。
「なんで私だけ二個……? うれしいけど」
今までの正解者はひとつしか賞品を受け取っていないのに、と不思議そうにする彼女に、広瀬さんがボソッと言う。
「最終問題だから特別。でも、開けるのは家に帰ってからな」
「えっ? 気になるから見たいんだけど……」
「ダメ。帰る前に開けたら白い煙が出て老婆になるぞ」
「玉手箱? ……まぁいいや。了解です」