天才パイロットは契約妻を溺愛包囲して甘く満たす

「嵐さん」

 薄っすら瞼を開けると、ベッドの脇に膝をついた紗弓が、俺の顔を覗き込み微笑んでいた。

 昨日までの国際線フライトを終え少し気だるかった体が、紗弓の笑顔に癒やされていく。

 そういえば今日は夫婦の休日が重なっているんだった。デートの約束をしていたのに、寝坊してしまったのだろうか。

「おはよう。……ごめん、俺、寝すぎたか?」

 のっそり体を起こして、目を擦る。スマホで時間を見ると、午前九時を過ぎたところ。

 昨日は深夜一時に床に就いたので、たっぷり八時間眠った後だった。

「いえ、そういうわけじゃないんです。お話ししたいことがあって」

 ただ俺を起こしに来たわけではないらしい。

 見つめた紗弓の横顔はどこか神妙な様子なのが気にかかる。

 仕事でなにかあったのだろうか。

「どうした? 遠慮しないで言って」

 紗弓の頭に手を伸ばし、そっと自分の方へ引き寄せる。

 やわらかい髪を撫でながら彼女が話し出すのを待っていると、紗弓がゆったりした動作で自分のお腹に手を置いた。

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