天才パイロットは契約妻を溺愛包囲して甘く満たす
「嵐さん……私たちのところに、赤ちゃんがきてくれました」
驚きのあまり、彼女の髪を撫でていた手がぴたりと止まる。
俺たちはお互いにいずれ子どもが欲しいと思っていたが、積極的に妊活しているというよりは、愛し合ううちに自然にできたらいいという考えだった。
「紗弓、妊娠してるのか?」
「はい」
……俺たちの子が、今、紗弓のお腹に?
状況を理解すると、大きな喜びがじわじわと俺を満たしていく。いてもたってもいれず、俺はギュッと紗弓を抱きしめた。
「ありがとう。大切な家族が、また増えるんだな」
「嵐さん……よかったです、喜んでくれて」
紗弓もそっと俺を抱きしめ返す。もしかしたら、彼女は俺が妊娠を喜ぶかどうか心配だったのかもしれない。
家族なんていらないと思っていた過去を知っているから。
不安にさせた心苦しさと、優しい彼女への愛おしさとが入り混じる。