天才パイロットは契約妻を溺愛包囲して甘く満たす

「喜ぶに決まってる。最愛のきみとの子だ」

 言い聞かせるように、強い口調で告げる。それから彼女の頬に手を当てて瞳を覗いた。

「体はつらくないか?」
「大丈夫です。つわりは軽い方みたいで」
「もう病院には行ったのか?」
「昨日の仕事終わりに行ってきたんです。心臓の音も元気で、今、八週目だそうです」

 八週目。男の俺にはその数字がピンと来なくて、すかさずスマホを手に取り検索する。

 胎児の大きさは二十ミリ程度。そんなに小さい体なのに、内臓の基本的な形はすでに完成に近いらしい。

 生命の神秘に感動する。

「……だからか」

 俺はふと、スマホから視線を外して呟いた。

「だからって、なにがですか?」
「さっき、亡くなった両親が夢に出てきて言っていたんだ。父は、家族を守れる強い男になれと。そして母は、紗弓さんの体を大事にしてと」

 紗弓が驚いて目を見開く。

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