天才パイロットは契約妻を溺愛包囲して甘く満たす
クリスマスイブに第三ターミナルの展望デッキに呼び出されて、ロマンチックな内容のラブレターを受け取った。
男の人に手紙をもらうなんて初めてだったし、好意を持ってもらえるのも単純ににうれしかった。
それに、尊敬する父と同じパイロットである彼とならいい関係が築けそうな気がして、彼との交際を決断。
恋人らしく甘い関係だった時期は、昇さんのことを本気で好きになれたと思っていた。
けれど幸せは長くは続かず、彼は会えば露木さんの悪口ばかり……結局は、別れる道を選んだ。
仕事のことで苦しんでいた彼をもっとちゃんと理解して、母のようにおおらかでいられたらよかったのかな。
私にもきっと非があったのに、連絡を拒否するのはひどい仕打ち?
でも、メッセージの内容も電話口で一方的に話す彼も、怖かったんだもの。
もし昇さんがやり直したいと思っていても、私の気持ちはもう彼に対して熱くなることはないだろう。
母に聞こえないようにため息をつくと、絹さやの筋を取る作業に集中した。