天才パイロットは契約妻を溺愛包囲して甘く満たす
「ところで、これからどうやって青桐から身を守るつもりだ?」
「どうやって……ですか。一応父とも相談しますけど、あまりいい解決策はない気がします」
「そうだな。香椎さんも忙しい身だし、毎日タクシーで通勤するというのも現実味がない」
「できるのは、防犯ブザーを持ち歩くくらいですかね」
「それか……」
露木さんが、ジッと前を見て考え込む。すれ違う対向車のヘッドライトに照らされる横顔がとても綺麗で、目を奪われる。
「俺に守られるか」
しばらく悩んだのち、彼はジッと私を見てそう言った。
「今、なんて……?」
聞き返したものの、本当は聞こえていた。ただ、彼の発言が信じられなかっただけだ。
すごくドキッとすることを言うんだもの……。
「守りたいんだ、きみのこと」
もう一度、ハッキリと私の目を見てそう言った露木さん。
彼のことが気になり始めているのもあって、過剰に鼓動が騒ぐ。
「守るって、いったいどうやって?」
「青桐をけん制するなら、恋人に……いや、婚約者と言ってあるんだったな。いっそ結婚してしまおうか」
「けっ……じょ、冗談はやめてください!」
「冗談じゃない」
私を見つめる露木さんは、いたって真面目な顔をしている。