天才パイロットは契約妻を溺愛包囲して甘く満たす
そばにいたい
嵐さんに承諾の返事をした次の休みには彼のマンションへと引っ越し、婚姻届はその五日後、十二月十八日というなんでもない平日に提出した。
クリスマスやイブの日に出すのも素敵だと思ったけれど、生憎ふたりとも休みではなかったし、その頃から年末年始が明けるまで、空港は目が回るほどの繁忙期。
普段よりイレギュラーな残業なども入ってくるので、出せるなら早め出してしまおうと、書類がそろってすぐに区役所へ行った。
嵐さんの住まいは七階建ての低層マンション、その最上階。
エントランスには二十四時間コンシェルジュが常駐しているためセキュリティも万全で、引っ越しの日に手伝いをしてくれた私の両親も、これなら安心だと胸をなで下ろして帰っていった。
お互い勤務時間がバラバラなので寝室は別だが、出かける前や寝る前に顔を合わせると嵐さんは挨拶代わりにキスをしてくれる。
同居開始からおよそ一カ月が経ったその日も、早番に出かけるため朝早く玄関で靴を履いていたら、寝室から嵐さんが出てくる。
寝起きの気だるい色気を纏った彼は、何も言わずに私を抱き寄せて唇を重ねてきた。