天才パイロットは契約妻を溺愛包囲して甘く満たす

「あーあ、どうにもならない~、なんて言ってたのはどこの誰かしらね」

 彼女はそう言って、不機嫌にポテトをつまむ。

「色々と状況が変わったっていうか……昇さんが色眼鏡で見ていた彼の情報しか知らなかったから、誤解していた部分が多くて」
「だからって、こんなに早く人妻になっちゃうなんて裏切られた気分よ。ねえ、旦那さんに頼んで誰か紹介してよ。もちろん、イケメン限定ね」

 落ち込んだかと思いきや、もう目を輝かせている夏希。

 切り替えの早さに感心するが、紹介と言われても、嵐さんの交友関係について私はまだよく知らない。

「とりあえず聞くだけ聞いてみるけど……」
「うれしい~! エリートパイロットのお友達なら、容姿も中身も期待できるよね」
「そ、そんなにハードル上げないでよ」

 まだ見ぬ王子の姿を想像しているのか、うっとり両手を合わせる夏希。

 そんな彼女に苦笑していると、テーブルに置いたスマホが短く震えた。

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