天才パイロットは契約妻を溺愛包囲して甘く満たす

「ただいまー……」

 我が家の玄関には、両親のものではない革靴とパンプスが一足ずつ並んでいた。

 母からのメッセージによると、今夜はふたりのお客さんが来ていてささやかな新年会をしているそうなのだ。

 そんな日に帰って邪魔じゃないかとも思ったが、お客さんというのはブルーバードのパイロットとCA。中でも父と親しい、気心の知れたメンバーなんだとか。

 彼らは鬼の査察操縦士が溺愛する娘さんにもぜひ会いたいと、私を歓迎してくれているそうだ。

 ちょっぴり緊張しながら、リビングダイニングのドアを開ける。ダイニングテーブルにはお酒やご馳走が並び、父と母が並んだ席の向かいに、見知らぬ男女が座っていた。

「こんばんは」
「あっ! 紗弓ちゃ~ん、おかえりなさい!」

 一番に私の姿に気づいたのは、メイクも顔立ちも華やかな、四十代くらいの女性。背中まである長い髪は、つやつやとして綺麗だ。

 CAというのはきっと彼女だろう。酔っているのか、頬がほんのり赤くて声が大きい。

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