天才パイロットは契約妻を溺愛包囲して甘く満たす

杏里(あんり)さん、ボリューム大きすぎ。娘さんがびっくりしてます」
「あっ、ごめーん」

 てへ、と舌を出す女性の横で、男性がこちらを向いた。

「はじめまして、紗弓さん。真路(しんろ)と言います。香椎さんにはいつもお世話になっています」

 杏里さんと呼ばれた女性の隣で、彫りの深い美形男性が頭を下げる。杏里さんがCAなら、真路さんはおそらくパイロット。

 嵐さんといい、ブルーバードにはイケメンパイロットが多すぎやしないだろうか。

「こちらこそ父がお世話になっています。娘の紗弓です」
「真路くんは部内イチの出世株だ。次の乗員部長はほぼ、彼で決まりだろう」

 父が、自分のことのように自信たっぷりな様子で真路さんを紹介する。

「恐縮です。乗務が減るのはパイロットとして残念ではありますが、家族と過ごせる時間が増えると思えば頑張れます」

 にこやかにそう言った真路さんの左手薬指には、結婚指輪がきらりと光っていた。

 彼の整った顔を見た瞬間、夏希に紹介できるかも……とつい考えてしまったが、素敵な男性にはやっぱりお相手がいるものらしい。

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