天才パイロットは契約妻を溺愛包囲して甘く満たす
「それにしても紗弓ちゃん、美人だわぁ~。さすが、うちのエース露木くんの新妻ね」
「いえ、そんな……」
新妻という響きに、頬が熱くなる。露木さんとの結婚をこんな風に冷やかされるのも初めてなので、どんな顔をしていいのかわからない。
「やだ、照れちゃってかわいい。私、客室乗員部の涼野杏里よ。杏里さんって呼んでね」
「はい、杏里さん。よろしくお願いします」
杏里さんは人懐っこく、とても気さくそうだ。
ひと通り挨拶を済ませると、私も空いている席に座らせてもらい、新年会に参加した。
「香椎さんがパイロットのトップなら、杏里さんはCAのトップってところですね。こう見えて、CA歴三十年を超えているんですよ」
「ちょっとー、年がバレるじゃない」
サラッと杏里さんの経歴を明かした真路さんの肩を、杏里さんがグーでパンチした。
真路さんは『痛っ』と言いつつも、クスクス笑っている。
CA歴が三十年以上と言うことは、杏里さんってもしかして五十代?
とてもそうは見えない美貌に感心する。美魔女って、本当に存在するんだな。