天才パイロットは契約妻を溺愛包囲して甘く満たす

 彼の気持ちが軽くなるよう、最後は冗談めかして笑う。嵐さんは眩しいものを見るように目を細め、それから優しい笑顔を返してくれた。

「ありがとう」
「いいえ。さ、ご飯が冷めないうちに食べちゃいましょう?」
「そうだな。久々の和食、実はかなりうれしいんだ」

 嵐さんが箸を持ち直し、ひと切れのつくねと一緒にご飯を頬張る。

 丸のみしたんじゃないかと思うほどすぐに飲み込んで「うまい」と口にする彼を見つめ、クスクス笑いながら思う。

 好きな人が自分の手料理を食べてうれしそうにしてくれると、自分もうれしい。

 とても単純なことだけれど、母が父の好物を長年作り続ける理由が、私にもわかった気がした。


「……青桐が?」

 食事の後、キッチンでふたり並んで食器の後片づけをしている時に、昇さんのことを相談した。

 嵐さんの抱える事情を知った今、昇さんが言っていた〝他の女性の影〟なんてハッタリだったのは明らか。疑心暗鬼になる必要はないため、ありのままを伝えた。

「はい。これが送られてきたメールです」

 先日送られてきたショートメールを見せると、嵐さんの表情が険しくなる。

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