天才パイロットは契約妻を溺愛包囲して甘く満たす
「これは……かなり危険だな。俺も付き添うから、明日警察に行こう」
幸い、明日はふたりとも休みだ。私も早く安心したいので、「お願いします」と頷いた。
「でも、どうしてもっと早く相談してくれなかっ……いや、俺が中途半端な態度を取っていたせいだな。ひとりで悩ませて、本当に悪かった」
嵐さんが額に手を当てて、目を伏せる。
「いえ、言わないと勝手に意地になっていたのは私なので、こちらこそすみません。でも、嵐さんがいない間は実家に帰っていましたし、相談なら同僚に乗ってもらいましたから大丈夫ですよ」
「同僚って、男じゃないよな?」
「はい。同期の矢坂夏希って子です」
「よかった。深刻な話の最中に変な嫉妬をするところだった」
サラッと嫉妬なんて言葉を吐いた彼に、どきりとする。
彼がどんな顔をしているのか見ようと視線を上げると、甘い目をした彼と視線が絡む。
不意に伸びてきた彼の指先が、頬をすりっと撫でた。
「青桐には、今でももちろん嫉妬してる。紗弓にこうして触れた日もあっただろうから」
切なげな眼差しに、胸が締めつけられる。
どんな過去があろうと、今の私は嵐さんしか見ていない。彼だって当然それはわかっているだろうけれど、過去を簡単に割り切れたらそもそも嫉妬なんてしないよね……。