天才パイロットは契約妻を溺愛包囲して甘く満たす
「紗弓、少し口を開けて」
「えっ……ん、ふぁっ……」
ちゅく、と音を立てて濡れた舌が侵入してくる。足元がよろめいて、キッチンに腰がぶつかった。
「んっ、うぅん……」
時折漏れる声が自分のものでないみたいで恥ずかしい。
我慢しようと思うのに、嵐さんが巧みに舌を絡ませたり上顎をくすぐったりすると、勝手に甘い吐息と声が、熱くなった体の奥から押し出されてしまう。
「……止まれなくなるだろ、そんな蕩けそうな目をされたら」
キスの合間、焦れたようにつぶやいた嵐さんが、激しく舌で口内をかき回して、私の唾液を啜る。
唇を触れ合わせるだけの時とは違う、すべてを暴かれてしまうような心もとなさと、むしろ暴かれてしまいたいという欲求が混ぜこぜになって、胸が苦しくなる。
ただ、嵐さんにもまだ葛藤があるのだろう。どんなに激しい口づけを交わしても決して一線を超えるような行動に出ることはない。
もどかしさをぶつけるように、私たちは長い間濡れた音を立ててお互いの唇や舌を求め合った。