【受賞】【コミカライズ】病弱な妹に全てを搾取されてきた令嬢はもう何も奪わせない
となれば、ここで苦しんでマナーを学ぶ必要もない。
シェイメイ帝国という新しい土地に行って、贅沢をしながら暮らすことができる。
両親と離れるのは少し寂しい気もするが、リリアーヌを可愛がってくれない両親なんて必要ないと思い始めていた。

仮病も通じなくなり、リリアーヌを追い詰めようとする二人はもういらない。
ディオンと結婚したって、きっと遊んでばかりで役に立たないだろう。
勉強は面倒だし、マナーも退屈。
これからも何もせずに可愛がられて生きていきたい。

(またコレットお姉様にディオンを押しつければいいのよ。それですべての問題が解決するわ……!こうなったら絶対にコレットを娼館から見つけ出さないと)

リリアーヌは自分の計画がうまくいくと疑わなかった。

コレットに鉢合わせた日から一週間。
父や母が娼館を探し回っても、やはりコレットらしき人物は見つからなかった。
それに客人にシェイメイ帝国の人間が訪れたことはないという。

(どういうことよ……!娼婦でもないのになんでわたしよりも美しくなって、いい男を連れているなんて変でしょう!?)

リリアーヌの苛立ちは募るばかりだ。
爪を噛んでばかりいるせいか爪先がギザギザしていた。
それすらもコレットのせいだと思えて仕方がない。
あんなにも近くにいたのに、知らない間に引き離されていく。
それが恐ろしいのと同時に憎いのだ。
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