【受賞】【コミカライズ】病弱な妹に全てを搾取されてきた令嬢はもう何も奪わせない
リリアーヌは確かに『可哀想』だった。
部屋から出られずに病で苦しんでいる。
それを口にしてはいけない。羨んではいけないとわかっている。
だけど『羨ましい』と思わずにはいられない。

どうすれば両親にリリアーヌのように愛してもらえるのか。
どうしたら両親にリリアーヌのように褒めてもらえるのか。

コレットの頭にはそのことでいっぱいになっていく。
コレットがどれだけ講師たちに「優秀だ」「素晴らしい」と褒められても両親は当然だと言うだけだった。
一言も褒めてはくれない。
美しい所作を身につけても見向きもされない。
説明できない寂しさや苦しさはコレットの心を次第に蝕んでいく。

そんなコレットには必ずしなければならない日課があった。
それはリリアーヌの前でコレットが今日一日あったことを話すのだ。
幼い頃はリリアーヌに今日あることを話すことが楽しみだったが、次第にこの時間が苦痛で仕方なくなった。
コレットが来ない日はリリアーヌが両親に告げ口をするため、必ず顔を出さなければならない。
そんな複雑な心境のコレットにリリアーヌは無垢な笑顔を向ける。


「ねぇねぇ、コレットお姉様!今日のお話を聞かせてっ」

「あ……うん。何の話をしようかしら」


リリアーヌは笑顔で可愛くて素直でいい子だった。

(両親に愛されるのも当然ね……)
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