【受賞】【コミカライズ】病弱な妹に全てを搾取されてきた令嬢はもう何も奪わせない
そのことが尚更、コレットの心の柔らかい部分を抉り出す。
泣きそうになりながら、笑顔を張り付けながらコレットはリリアーヌに今日あったことを話し続けた。

そして最後にはこう言うのだ。


「コレットお姉様が羨ましいわ」


その言葉を聞くと、コレットは何も言えなくなった。

(わたくしもリリアーヌが羨ましい……っ!)

それを言ってしまえば、リリアーヌを傷つけてしまう。
そうわかっていたからかもしれない。
リリアーヌの性格が悪ければどんなによかっただろうか。
コレットは見えない鎖で縛られているようだった。

コレットは両親に愛されたくてリリアーヌの真似をしてオリーブ色の髪を伸ばしてみたけれど、両親は「リリアーヌの髪は美しいプラチナブロンドなのにその辺の草の色のようだ」とコレットを否定する。
同じ金色の瞳を向けたとしても、リリアーヌには「どうしたの?」「何かあったの?」と言うのに、コレットには「励みなさい」「まだまだ」という。

その度に、コレットの世界は灰色に染まっていくような気がした。

コレットが十二歳になる頃には社交界デビューを終えて、パーティーやお茶会に多く参加するようになった。
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