【受賞】【コミカライズ】病弱な妹に全てを搾取されてきた令嬢はもう何も奪わせない
息苦しくもリリアーヌがいるミリアクト伯爵邸を抜け出す時間が増えれば増えるほどにコレットは見えない鎖から解放されるような気がした。

その中でどんな巡り合わせか、とある令息と出会う。

月の光のようなホワイトアッシュの髪にミステリアスなバイオレットの瞳。
質素なシャツにくたびれたズボン。小柄な体と細い手足。
身なりからして平民のようだ。
しかしパーティーにいることを考えたら子爵家か男爵家の令息だろうか。

憂いを帯びた瞳は冷たくてどこか寂しげだった。
その表情が自分と似ていたような気がして、コレットは少年に声かけた。

しかしそれも無視されるか軽くあしらわれてしまう。
コレットは城でパーティーやお茶会が開かれるたびに、その少年の元へ向かって無言の少年とお菓子を食べながら、ずっと話をしていた。
それがいつの間にかコレットの心の拠り所となる。

次第に返事を返してくれるようになり、仲は深まっていく。
コレットはパーティーのテーブルから食べ物を持ってきては少年と食べていた。
少年は絶対に表に出たりしない。会えるのはいつも会場から見えない場所だ。
パーティーで誰も来ない建物の裏で、コレットは山盛りのスイーツを持って少年に食べさせていた。
子どもながらに、その異様な細さが気になっていたのかもしれない。
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