【受賞】【コミカライズ】病弱な妹に全てを搾取されてきた令嬢はもう何も奪わせない
「はい、ヴァンは細くて小さいからいっぱい食べなくちゃ」

「もういらない。お腹いっぱいだ」

「ダメよ!逞しくなって、いつかわたくしを迎えにきてね」

「……わかった」


その令息の名前は〝ヴァン〟。
少年と仲良くなり、コレットは次第に恋心を寄せるようになった。
だから力になりたいと強く思ったのかもしれない。

コレットはヴァンと話すことが楽しくて嬉しくて仕方なかった。
ヴァンに会いたくて王家主催パーティーやお茶会を楽しみにしていた。


「わたくし、ヴァンのことが大好きよ!」

「……ありがとう。僕もコレットが好きだ」


その言葉にコレットは子どもながらに舞い上がっていた。
ヴァンの前だけでは本当の自分でいられたし、コレットは本音を話して涙を流したこともあった。
リリアーヌと両親の間で揺れ動く気持ちも、ヴァンは自分のことのように理解してくれた。

「僕もコレットと同じだ」

そう言われてコレットは救われたのだ。
ヴァンといる世界は輝いて見えた。
侍女と町に行って雑貨屋で買ったお揃いのおもちゃの指輪をプレゼントしたこともある。
いつも無表情だったヴァンのバイオレットの瞳がキラキラと輝いていたのを今も覚えていた。
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