シリウスの心臓
Capella
大好きだよ。いづき…
…ぇ。…ねぇ。ねぇっ!
はっ…
「大丈夫?こんなところで寝ていると風邪引くし、危ないよ?」
「あ、すみません…」
え、何どうなってんの?たしか病院を抜け出して星を見にこの丘にきて…
まさか、寝ちゃったんだ…もー私のバカ。
てか、この人誰?
「びっくりしたよね、ごめん。僕は速水伊月(いづき)。星を見によくここに来るんだ。君の名前は?」
「私は…陽色(ひいろ)。一宮陽色です。」
「ひいろか、素敵な名前だね。」
「そうですか?ありがとうございます。」
素敵な名前だなんて初めて言われた…
私はこの名前が好きじゃない。だって太陽の陽の字を使うのに肌は青白く、体は弱い。内気でおとなしく面白くもない。例えるなら月の方がまだしっくり来る。普通を求める私にとってこの珍しい名前がとても嫌だった。
「そういえば、なんで陽色はここに来たの?」
よ、よ、呼び捨て。この人絶対クラスの中心的な人気者だ。
「えっと、星を見に来たんです。そしたらそのまま寝てしまって…」
「星、すきなの!?」
な、なんだ?
星という言葉を言っただけでこんなに目を輝かせるなんて、少し変わった人だ。
「ま、まぁ星見ると心がなんか落ち着くから好きです。」
「一緒だ!僕も星が大好きで天体観測が趣味なんだ。だから、晴れの日はほとんどこの丘で天体観測してるよ。」
「すごい。なんかいいですね。羨ましいです。趣味があって。」
「そうかな?なんか照れるな。ありがとう。
てかさ、同い年だしタメ語でいいよ。なんか敬語くすぐったいし。」
「あ、わかりま…わかった。」
「プッ。ククククク。アハハハハッ。もー陽色って本当に面白い子だね。はーお腹痛い。」
腹を抱えて大笑いしている伊月くんの顔はハバネロのように真っ赤で、だんだん面白くなってくる。
「それ伊月くんが言う?プッ。クスクス」
笑いを堪えられなくなった私を見てまた伊月くんが爆笑する。それから2人で笑い転げて気がつけば時計の針は9時45分を指していた。
「そろそろ帰らなきゃ…また来てもいい?」
「そうだね。またこの丘で待ってる。」
「うん。また星のこと教えてほしいな。」
「もちろんだよ。気をつけてね。」
「うん、またね。」
私は人生で初めて夜も悪くない、生きるのも悪くないと思えた気がした。
でも、もうそれは終わりだ。病院が見えて来た。またいつもの退屈な日常が待っている。病室にこっそり向かう。誰も私を心配して探したりなどしていなかった。当たり前だろう。こんなに入院患者がいる中でたった1人ぐらいいなくたって気づかないよね。みんな自分のことでいっぱいいっぱいだから…悲しいような寂しいような…でも、怒られなくて安心だ。
そろそろベットで眠ろう。今日は楽しかったなぁ。伊月…月の字を使うのに全く月じゃないよなぁ。ふふっ。思い出し笑いをしてしまう。なんていうか太陽の方がしっくりくる。
私と正反対。しかも初対面で呼び捨てだなんて。同い年だったんだ…あれっ?そういえば私15歳っだって言ったっけ?見た目?それとも前に会ったことがあるとか?まぁいっか。また今度聞いてみよ。
その日の夜は、いつもよりもよく眠れた。
…ぇ。…ねぇ。ねぇっ!
はっ…
「大丈夫?こんなところで寝ていると風邪引くし、危ないよ?」
「あ、すみません…」
え、何どうなってんの?たしか病院を抜け出して星を見にこの丘にきて…
まさか、寝ちゃったんだ…もー私のバカ。
てか、この人誰?
「びっくりしたよね、ごめん。僕は速水伊月(いづき)。星を見によくここに来るんだ。君の名前は?」
「私は…陽色(ひいろ)。一宮陽色です。」
「ひいろか、素敵な名前だね。」
「そうですか?ありがとうございます。」
素敵な名前だなんて初めて言われた…
私はこの名前が好きじゃない。だって太陽の陽の字を使うのに肌は青白く、体は弱い。内気でおとなしく面白くもない。例えるなら月の方がまだしっくり来る。普通を求める私にとってこの珍しい名前がとても嫌だった。
「そういえば、なんで陽色はここに来たの?」
よ、よ、呼び捨て。この人絶対クラスの中心的な人気者だ。
「えっと、星を見に来たんです。そしたらそのまま寝てしまって…」
「星、すきなの!?」
な、なんだ?
星という言葉を言っただけでこんなに目を輝かせるなんて、少し変わった人だ。
「ま、まぁ星見ると心がなんか落ち着くから好きです。」
「一緒だ!僕も星が大好きで天体観測が趣味なんだ。だから、晴れの日はほとんどこの丘で天体観測してるよ。」
「すごい。なんかいいですね。羨ましいです。趣味があって。」
「そうかな?なんか照れるな。ありがとう。
てかさ、同い年だしタメ語でいいよ。なんか敬語くすぐったいし。」
「あ、わかりま…わかった。」
「プッ。ククククク。アハハハハッ。もー陽色って本当に面白い子だね。はーお腹痛い。」
腹を抱えて大笑いしている伊月くんの顔はハバネロのように真っ赤で、だんだん面白くなってくる。
「それ伊月くんが言う?プッ。クスクス」
笑いを堪えられなくなった私を見てまた伊月くんが爆笑する。それから2人で笑い転げて気がつけば時計の針は9時45分を指していた。
「そろそろ帰らなきゃ…また来てもいい?」
「そうだね。またこの丘で待ってる。」
「うん。また星のこと教えてほしいな。」
「もちろんだよ。気をつけてね。」
「うん、またね。」
私は人生で初めて夜も悪くない、生きるのも悪くないと思えた気がした。
でも、もうそれは終わりだ。病院が見えて来た。またいつもの退屈な日常が待っている。病室にこっそり向かう。誰も私を心配して探したりなどしていなかった。当たり前だろう。こんなに入院患者がいる中でたった1人ぐらいいなくたって気づかないよね。みんな自分のことでいっぱいいっぱいだから…悲しいような寂しいような…でも、怒られなくて安心だ。
そろそろベットで眠ろう。今日は楽しかったなぁ。伊月…月の字を使うのに全く月じゃないよなぁ。ふふっ。思い出し笑いをしてしまう。なんていうか太陽の方がしっくりくる。
私と正反対。しかも初対面で呼び捨てだなんて。同い年だったんだ…あれっ?そういえば私15歳っだって言ったっけ?見た目?それとも前に会ったことがあるとか?まぁいっか。また今度聞いてみよ。
その日の夜は、いつもよりもよく眠れた。