かつて女の子だった人たちへ
「あと気を付けるのは、特典会では購入上限枚数でループをするとかね。時間つぶして、鍵閉め狙わないとか。物販監視してるオタクは結構いるんだ。整理券早いのを取れたら、入場後にミヤナさんの仲介で最前交渉に応じて。鍵開け、鍵閉めもミヤナさんを頼っておけば、平等に回してもらえるよ」

(同じファンなのに、やっぱり変なの)

他のグループから移ってきて幅を利かせるなんて、存在自体がうっとうしいけれど、ミヤナに従っておくのが得策のようだ。信用はできないが利用はすべきだろう。

「『ミルkey』の現場は十代から二十代前半の子が多いよね。目立ちたくなかったら、今日みたいな、ザ・量産型って感じの服でいいよ。着てる子が多いブランド、あとで送っておくね。目立ちすぎる格好は演者(※舞台に立つアイドル)に認知されるのが目的だと思われるかも。厚底OKだけど、あんまり高すぎると文句言うコもいるから気を付けて」
「トモカちゃん、色々教えてくれて本当にありがとう」

芽里は少し考え、気になっていることを口にした。

「あの、トモカちゃんの最推しは他にいるって言ってたよね。その人もアイドルなの?」
「うん、そう。『モンスターライク』は知ってる?」
「『ミルkey』の先輩グループの? この前対バンしたんだよね」
「そうそう。私の最推しは『モンスターライク』のキラ。『ミルkey』を推してっていうのはキラの頼みなんだ」

そう言うトモカはどこか誇らしげな顔をしている。推しに個人的に頼られているからだろう。

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