かつて女の子だった人たちへ
「久原さんって『丁寧な暮らし』してそうだよね。爪の先や毛先まで手入れが行き届いてるから、暮らしぶりもそうなんじゃないかなって感じるよ」
「そんなことないよ~」
「肌もきめ細やかで、綺麗だね。自分自身のケアがしっかりしてる女性って好印象。生き方に美学があるっていうのかな」
敬士は令美の目を見て、ゆっくりと語る。真摯で真面目そうなのに、熱心に褒めてくれるので、令美も気分がいい。
可愛い、綺麗はよくかけられる言葉だが、手間暇かけて自分を磨いているメンテナンスの部分まで感じ取ってくれる男性はあまりいない。それとも、ここまで言うのは脈があるとみていいだろうか。
「松田くん、私は~?」
アルコールに弱い弓が頬を赤くして敬士に尋ねる。おそらく普段の弓ならしない態度だが、アルコールで気が大きくなっているのだろう。好きな男が令美ばかり褒めるので面白くないのかもしれない。
「仁藤さんは、しっかり者に見えておっちょこちょいだからなぁ。この前も同期飲みで、ジョッキひっくり返してたでしょ」
「わ~、あれ見てたの~?」
恥ずかしそうに厚みのある白い手で、丸い頬を包む弓。そんなことしても可愛くないんだよ、と令美は腹の中で笑いながら会話を盛り上げる。
「弓は確かにそういうとこあるよね。遠足でお弁当をひっくり返しちゃった話、していい?」
「しちゃってるじゃない~! それ小学校一年生のことだから」
弓がめずらしくはしゃいだ声をあげているから、おそらく楽しいのだろう。好きな男と幼馴染に弄られている状況である。
「そんなことないよ~」
「肌もきめ細やかで、綺麗だね。自分自身のケアがしっかりしてる女性って好印象。生き方に美学があるっていうのかな」
敬士は令美の目を見て、ゆっくりと語る。真摯で真面目そうなのに、熱心に褒めてくれるので、令美も気分がいい。
可愛い、綺麗はよくかけられる言葉だが、手間暇かけて自分を磨いているメンテナンスの部分まで感じ取ってくれる男性はあまりいない。それとも、ここまで言うのは脈があるとみていいだろうか。
「松田くん、私は~?」
アルコールに弱い弓が頬を赤くして敬士に尋ねる。おそらく普段の弓ならしない態度だが、アルコールで気が大きくなっているのだろう。好きな男が令美ばかり褒めるので面白くないのかもしれない。
「仁藤さんは、しっかり者に見えておっちょこちょいだからなぁ。この前も同期飲みで、ジョッキひっくり返してたでしょ」
「わ~、あれ見てたの~?」
恥ずかしそうに厚みのある白い手で、丸い頬を包む弓。そんなことしても可愛くないんだよ、と令美は腹の中で笑いながら会話を盛り上げる。
「弓は確かにそういうとこあるよね。遠足でお弁当をひっくり返しちゃった話、していい?」
「しちゃってるじゃない~! それ小学校一年生のことだから」
弓がめずらしくはしゃいだ声をあげているから、おそらく楽しいのだろう。好きな男と幼馴染に弄られている状況である。