かつて女の子だった人たちへ
(服も、新しいの買わないと)

メイク道具はプチプラのものでどうにかなっているが、参戦服代はどうしてもかさむ。三着のワンピースを着回しでは毎週同じ服になってしまう。チェキも残るし、他のオタクに笑われるのは嫌だった。
髪の毛も会社でぎりぎり通用するくらいのブラウンに染め、野暮ったく見えないように雰囲気を変えた。メンテは頻繁になるしお金もかかるが、あの場所になじむためとレイキによく見てもらうためには必要な出費。
これらの出費で、芽里がコツコツ貯めた貯金はもうほぼない。もらったばかりの夏のボーナスも使いきった。それなのに、ライブはこれからもずっと続くのだ。

「来月のカードの支払いがすでにまずいよ」

何度見ても預金残高は変わらない。

「みんな推し活費用、どうやって捻出してるのよぉ」

芽里は自宅のローテーブルにつっぷし、うめいた。



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