かつて女の子だった人たちへ
「あー、それわかるよ。私の今のキラへの気持ちもそうだもん。ガチ恋じゃないけど、大事な人には変わらないし、彼のハッピーが私のハッピー」
「だよね!」

そうだ。これは恋じゃない。
恋愛感情でレイキを見たりしていない。
レイキが輝くために芽里はいるのだ。風俗で働くのも、現場に通うのも、すべてレイキを推すことを通して芽里自身が幸せになるため。

(悪いことなんかない)

芽里はぎゅっと拳を握った。



帰り道、最寄り駅方面の私鉄電車に乗ってから芽里はスマホにDMが来ていることに気づく。

「レイキ……」

レイキからのDMだ。送るとは言っていたけれど。

【メリーさん、週末会えないかな?】

どくんどくんと心臓が高鳴る。

(いいの? レイキ。私みたいなオタクを特別扱いしすぎだよ。ファンサにもほどがあるからね)

しかし、もしうぬぼれてもいいなら、レイキ自身が芽里に会いたいと思っているのかもしれない。

【いいよ。私もレイキに会いたいな】

返信はすぐにきた。

【お昼食べて、カラオケいかない?】

(それってデートみたい)

芽里は真っ赤な顔でスマホを凝視し続けた。最寄り駅は通り過ぎてしまった。

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