かつて女の子だった人たちへ
(でも、私、風俗までやって推してるんだよね。それってピュアって言えるのかな)

本当に下心がないのか。
そう言いきれるのか。
ここまで捧げているのに、見返りがないと感じてしまったら、芽里はどうなるのだろう。
自分自身がわからなくなりそうだ。
届いたオムライスを前に手を止めてしまい、レイキが心配そうにのぞき込んでくる。

「メリーさん?」
「あ、ごめんね。ぼうっとしちゃった。レイキに会えると思ったら緊張してあんまり眠れなかったの」
「ええ? 俺相手に緊張なんかしなくていいでしょ。もう長い付き合いなんだし」

そうやって、こちらを喜ばせないでほしい。

食後はレイキのアクセサリーを買いに行った。レイキは固辞したが、芽里はどうしても買ってあげたかった。以前ブレスレットをあげてから時間が経っている。もし飽きて、他のファンがあげたものを身に着け出したら嫌だと思ったのだ。
その後は当初の予定通りカラオケである。
ドリンクだけ頼み、デンモクをテーブルに置いたところで隣に座ったレイキが頭を下げてきた。

「本当にごめんね。金なくて、こんなデートしかエスコートできなくて」

(デートって言った!?)

芽里はデートのワードに一瞬にして浮ついてしまったけれど、必死にいつものお姉さんの表情を作る。

「いいよ。歌の練習したかったんでしょ。レイキは本当に頑張り屋」

しかし、お金がないというのは心配だった。レイキはアイドルとして働いているのに。

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