かつて女の子だった人たちへ
「あー、ごめん。この件はまたあとで話そ。俺、出かけなきゃ」
レイキはぶつぶつ言って食べかけのパンごと皿を流しに放り出し、スウェットを脱ぐと芽里が洗濯してたたんでおいた服を適当に物色し着替えた。
「今夜はそのままバイト行くんでー」
こちらを見もせずに言うと、スマホを手に出かけて行ってしまった。
芽里は床に座り込み、レイキが消えた玄関のドアを呆然と見つめた。
どうしよう。レイキはああ言うけれど、芽里はもう現場には行きたくない。最初に掲示板で叩かれたときの何倍もの不安と恐怖を感じていた。家も職場も名前までバレている。
(現場はいけない。それをレイキにわかってもらわないと。恋人が怖がってるんだから、守ってくれるはずだよね……)
芽里はレイキとその夢を大切にしていきたいだけなのに。
そのとき、芽里のスマホが振動した。
見るとそこにはトモカの名前が表示されていた。
「トモカちゃん……?」
芽里は目を見開き、液晶を凝視した。
レイキはぶつぶつ言って食べかけのパンごと皿を流しに放り出し、スウェットを脱ぐと芽里が洗濯してたたんでおいた服を適当に物色し着替えた。
「今夜はそのままバイト行くんでー」
こちらを見もせずに言うと、スマホを手に出かけて行ってしまった。
芽里は床に座り込み、レイキが消えた玄関のドアを呆然と見つめた。
どうしよう。レイキはああ言うけれど、芽里はもう現場には行きたくない。最初に掲示板で叩かれたときの何倍もの不安と恐怖を感じていた。家も職場も名前までバレている。
(現場はいけない。それをレイキにわかってもらわないと。恋人が怖がってるんだから、守ってくれるはずだよね……)
芽里はレイキとその夢を大切にしていきたいだけなのに。
そのとき、芽里のスマホが振動した。
見るとそこにはトモカの名前が表示されていた。
「トモカちゃん……?」
芽里は目を見開き、液晶を凝視した。